注文住宅で家を建てる!

土地探しから、ハウスメーカー選び、間取りなど…いろいろ、家を建てるまでの軌跡


で、結局のところ構造は、鉄骨と木造のどっちがいいの?

鉄骨か木造か⁉︎

先述記事「ハウスメーカーは営業マン次第なのではないか…」にも書いた通り、理想通りの土地を見つけ、そこは積水ハウスの建築条件付分譲地ではあったのだが、できる営業マンに出会えたこと、そして積水ハウスは木造建築も対応していることで、ずいぶんと先行きに光がさした気分になる。その営業マンに教えてもらったのだが、鉄骨と木造でどのような違いがあるのかについて、今回は私の解釈も含めて記載していきたいと思う。結論から言うと、その営業マンもしきりに言っていたのは、どちらが良いとは言い切れず、どのような家を建てたいかによって、その選択は変わるという…

 

概ねの予想通りでもあるが、

  • 鉄骨 →無機質、モダン、洋風な家
  • 木造 →木質感、トラディショナル、和風な家

といった具合に、作りたい家によって自ずと選択が決まるという。けして木造で無機質、モダン、洋風な家が建てられないわけでもないし、鉄骨で木質感、トラディショナル、和風な家を建てられないわけでもないが、要は嗜好性により、選択されるケースが多いとのこと…

 

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耐震性

まず耐震性についてである。単純に強度という点では、木よりも鉄の方が硬く、簡単な実験でそれぞれに圧をかけた場合は、圧倒的に鉄が強いらしい。これだけをもって、鉄骨の方が、耐震性が高いと捉える方も多いらしいが、実際はそうもいかないという。例えばであるが、震度7クラスの地震東日本大震災クラス)であっても、鉄も木も折れることはないらしい。重要なのは、柱と梁の接合部がどのように接合されているかの方が重要らしい。大きな揺れに対して、家が崩れる場合、柱や梁が折れるのではなく、その接合部分が外れ、崩れることがほとんどだからだ。なので、これは鉄であっても木であってもその接合がしっかりしていなければ、一緒らしい。

 

で、単純に地震のような横揺れに対して、どちらが強いかというと、これはなかなか難しいらしい。鉄は強度は高いものの、大きな揺れに対しては、木よりも、ねじれや曲がる可能性が高い。これは強度が高いが故とも言える。最近では鉄骨住宅ではねじれや曲げといった欠点を補うため、構造内に免震装置を入れているところも多くなっている。木はその特徴でもある「しなる」ことによって揺れを吸収するという効果がある。これは、箸とスプーンを同じ力で曲げた時に、ある地点ではスプーンは曲がり、箸は元に戻るが、ある地点を超えるとスプーンは曲がったままだが、箸は折れることをイメージするとわかりやすい。例えば極端なことを言うと、震度20だと鉄は曲がり、木は元に戻るが、震度30になると鉄は曲がったままだが、木は折れるといったように、どこまでを求めるかによってその選択は変わるし、柱や梁の太さを太くすればするほどその強度は高くなる。それ以前にそのクラスの地震があるとしたら、柱・梁よりも先に接合部が外れるわけで、むしろ接合部がどれくらいの震度までを想定して設計されているか、実験はなされたのかを確認した方がいいのだ。結論は、鉄も木も耐震性という点では、いずれも変わらないというのが答えなのだ。

 

開口

上記の通り、強度だけを見れば木造より鉄骨の方が、強度は高く、その分柱や梁の本数を減らすことが可能になる。そうすると何がいいかというと、開口が大きく取れるのだ。やたらと窓が大きく多い家も開放的でいいものの、断熱性や防犯、火災被害のリスクを考えると、やめておいた方が個人的にはいいと思うが、この点には差があると言える。 例えばだが、リビングだけは大きな開口をとりたいといった要望であれば、鉄骨であれば問題ないが、木造の場合は強度の点も含めて、ハウスメーカーには確認を取った方がいい。木造でも柱、梁、壁の作り方によっては、問題なく大開口を実現できる場合もあるので、要望は要望として伝え、他で対策を取ることが重要となる…

 

耐火性

続いて、耐火性についてだが、これも耐震性と近しいことが言える。一般的には木は燃えやすく、鉄は燃えにくいと思われがちだが、全く逆のことも言える。木は燃えても炭になり形が残るが、鉄はある一定の温度になると変形しやすく、建物自体が崩壊しやすいと言えるのだ。なので、鉄骨住宅はこの欠点を補うために、軽量コンクリートなど耐火性の高い外壁で鉄骨を覆い隠してしまう構造にしている住宅メーカーが多いのだ。余談だが、火災は室内からの出火も多いが、隣家からの貰い火による引火も多い。その被害を最小限に抑えるには、窓から引火することが多いらしい。鉄骨にしても木造にしても、結局のところ窓から引火するのであれば、その位置や材質にこだわった方が有益なのかもしれない…

 

断熱性

これは差が出やすい項目だ。鉄骨であっても木造であっても、断熱材を柱や梁の間に充填したり貼り付けたりするわけで、構造には影響が出ないと考えがちだが、鉄には熱を伝えやすいという性質がある。室外の暖気・冷気が鉄に伝わり、室内まで伝わってしまうのだ。これを熱橋と言う。特に冷気は、冷やされた鉄が室内の暖かい空気を冷やし結露となって現れる。場合によっては、断熱材を湿らせ、断熱材がずり落ちてしまったり、そもそもカビの発生原因となり、壁の中で腐っていることなんてのも、欠陥住宅の報道などではよく見かける。これを防ぐためには、鉄を断熱材で覆う必要があり、繊維状ではなく発泡状の断熱材だったり、外張り断熱と言われる鉄を断熱材で覆う断熱方法が生まれたわけなのである。構造だけをもって断熱の是非を識別するのは難しいが、鉄骨の場合、熱橋に対して、どのように解消しているかは、確認した方がいい…

 

湿気

湿気も差が出やすい項目だ。ご存知の通り、木には調湿効果があり、室内の湿気を適切に調整する。これは室内だけではなく、断熱材に対しても同様のことが言える。鉄にはこの機能はなく、やはりそれを補うため、珪藻土の壁材などを使い、木に代わって湿度を調整するようにしている住宅メーカーも多い。こちらも、鉄骨の場合は、どのように湿度調整をするのかを、確認した方がいい…

 

防蟻

続いて、シロアリ対策である。こちらは木造の欠点であり、木造建築の場合は、どのように防蟻処理をしているのかを確認するといい。木造ハウスメーカーである住友林業は、10年に一度基礎に防蟻薬を散布しなければならないし、ミサワホームでは床部分の木材には防蟻シートというシロアリを寄せ付けないシート加工をしている。鉄骨の場合、木造よりもその可能性は低いものの、床材等で木材を利用する場合には、やはりシロアリ被害の可能性がゼロではなく、鉄骨だから防蟻処理が不要と思い込まずに、こちらも確認する必要がある…

 

塩害対策

海岸近くのお住まいですと、この点を懸念しなければならない。我々も辻堂、鎌倉、逗子での土地を探していた経験から、鉄骨の場合は、サビにより耐久性が極端に落ちるという危惧がある。これは木造の場合でも、例えば接合部に金属部品を使っていれば同じことが言えるであろう。サビない加工をしている住宅メーカーが多いと思われるが、海岸近くにお住まいの際は、この点を確認した方がいい…

 

で、結局のところ、鉄骨と木造のどっちがいいの?

で、鉄骨と木造とどっちがいいのかについてだが、冒頭述べた通り、どちらが優れているとはなかなか言い難い。互いに欠点もあり、その欠点をどのように補っているかの方が、重要な気がする。もし欠点に対して、歯切れの悪い回答であれば、その住宅メーカーや営業は避けた方がよく、後から対策するための費用や、指摘もなく後悔する羽目になりかねない…。そして、結局は、

  • 鉄骨 →無機質、モダン、洋風な家
  • 木造 →木質感、トラディショナル、和風な家

という判断に落ち着くのではないだろうか…

 

究極は、ハウスメーカーの営業マンに、「で、◯◯さんの御自宅は、どっちなんですか?」と、尋ねるのがいい。

 

我々はどうしたかというと、積水ハウスは鉄骨、木造ともに提供しているため、我々の期待する家や生活を伝えたところ、営業マンから、「◯◯さんは、きっと木質感の高い、邸宅風住宅がお望みなのですね…」と、助言をもらい、最終的には、木造商品SHAWOODに決めた。ついでに、両方の商品を扱う積水ハウスの営業に上記の質問をしたところ、「大きな声では言えないですが、私の自宅も木造にしたんです…。絶対木造がいいですよ」と、小声で助言をいただきました… 

 

<推薦図書>

木造、S造、RC造の基本的なディテールの数々を、3構造並列で掲載したディテール入門の決定版。各構造における工事で頻繁に遭遇する基本的な納まりから、専門業者しか知りえないような応用テクニックまで幅広く網羅。

書籍名:木造・S造・RC造 ディテール集 (エクスナレッジムック)