外観が出来上がってくると…
着工から3ヶ月が経ち、我が家もそうだが、同じ分譲地内の家々も家の形になりつつある。出来上がってくると、当然ではあるが、更地の時に感じた広々とした解放感はなく、住宅街特有の密集感は否めない…。さらには、分譲地における注文住宅特有の弊害もあるものだと感じるようになる。私なりに感じた弊害をいくつかご紹介したい…
- 外観が似ている…
- 窓位置が重なる…
- 陽当たりの妨げ…
- 同僚が住んでいる…
1. 外観が似ている…
同じハウスメーカーの分譲地だからこそ起こりうること…。特に外壁材については、積水ハウス独自のベルバーン(陶器材)やダインコンクリート(軽量コンクリート)は、デザインや色のバリエーション数が少なく、重複してしまう。我が家においては、木造でありベルバーンを採用したのだが、両隣が鉄骨造りでダインコンクリートの為、この弊害を免れたが、周囲を見渡すと、全く同じ外壁材が横並びで並んでいるところもある。また多いのが、白地のベースカラーに茶色のアクセントカラーという組み合わせ…。極め付けは屋根の形状…屋根というのは自らの意思を発揮しづらいのだろうか、我が家もそうだが、ほぼハウスメーカーの提案を鵜呑みにした。同じような形状の土地に同じような大きさの家が建つと、おのずと屋根の形状が似てきてしまう。後から考えると、屋根こそ家の外観を個性的に表現する大事な一要素だと反省…
建売であれば、それらの点も考慮されていたり、もしくは全て同じなので、統一感があるところ、注文住宅の場合は、それぞれで選んでいながら、カブってしまうと、余計に恥ずかしく思ってしまう…
2.窓位置が重なる…
同様に、同じような形状の土地に同じような大きさの家が建つとおのずと間取りも固定される。そうすると起こるのが窓位置の重なりだ…。南側には当然リビングがあり、広い窓を設けるが、東西にも大きな窓を設けると隣接したリビング窓が重なり合うことになる。まだ建築前の広々とした状態では、光がさしこむことを想像するのだろうが、実態はそうではない…。隣家の視線を気にし、結果的には常にカーテンをしていたり、場合によっては、植栽を植えたりして、光がさしこむことはないのだ…。加えて、南北の関係でも同様なことが起きる。南側の建物も北側にも、明り取りや換気の為、窓を設ける。その大きさや霞ガラスかによっては、北側建物のリビング窓と視線が交わることになる…
これらも建売であれば、総合的に考え、窓位置や大きさ、霞ガラスなど考慮するが、注文住宅だとそうはうまくいかない。分譲地でなく、周囲の状況を理解し建てた場合でもこの弊害は起こらないであろう。分譲地の注文住宅では、それぞれの自我により一斉に設計された間取りであり、建てた後に不運が発覚する。「ハウスメーカーが気にして調整してよ」とも思うが、各々の理想が詰まっている為、そう簡単にはいかないのかもしれない…
3.陽当たりの妨げ…
同様に…自分達が計画していた通りの陽当たりが確保できない。これも分譲地だけを見て想像すると、全体が更地の状態なわけで、土地だけ見てると当然陽当たり抜群なわけです…。それが、どんどん家が建ち並んでくると、もちろんですが、建ち並ぶ度に陽当たりを妨げるようになってくる…。我が家も例に漏れずそうなわけですが、お互い様なとこもあって、これはもう諦めるしかない…。残念なのは、想像以上に境界線近くだったり、植栽が大きかったり、なかなか計画通りにはいかないなぁと痛感します…
4.同僚が住んでいる…
最後に、これは良し悪しですが、驚いたことに同僚が同じ分譲地内にいたこと…。当然ながら、勤務地や所得水準等を考えると可能性としては有り得ることだが、いざ実際に起こると、なかなか戸惑う…。我が家の場合は、相手方が後輩だった為、あまり気を使うことはないが、逆の立場で考えると、嫌だろうなぁと感じる…。しかも同僚同士ならまだしも、奥さん同士は更に嫌だろうなと感じるのである…。もちろん相手方のことは嫌いではないし、正直あまり仕事上の接点も少ないながらも、なんだか窮屈な気分になってしまうのである…
以上、私なりの経験談をあげましたが、ハウスメーカーとも、もっと情報を密に連携すれば、食い止められたこともあったな…と反省…。今後、分譲地で注文住宅を建てられる方の一助となれば幸いです…
<推薦図書>
住宅設計の現場には、家づくりの先人たちが積み重ねてきた知恵や工夫、心憎いまでの「ふつう」があります。それらのエッセンスを、550点超のイラストと洒脱な文章で分解・抽出した“住宅版・解体新書”。